平成マシンガンズ
- 作者: 三並夏
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (100件) を見る
おそらく、今これが文藝賞に応募されたとして賞をとれないだろうな、と思う。
これは別に意地悪でもなく、文章が下手なわけでも、面白くなかったわけでもない。
いじめを題材にしているせいだ。
大津の一件があった今では、「いじめ」を題材にすることのハードルがものすごく高くなっていると思う。
実際に『平成マシンガンズ』ではそこまで露骨ないじめ描写があったわけではない。
女子同士の内面から攻める感じのじめじめしたいじめ。
それが当時にしてみれば、ものすごくいじめの現場をリアルに描いているように見えたのだろうけど、もうその時代は終わった。
「自殺の練習」をさせ、自殺した生徒の写真に画鋲を刺す。
これがリアルなのだ。
もう小説で表現できる限界をリアルでやってしまっているのである。
それでも『平成マシンガンズ』は、一五歳当時の作者でしか表せないであろう学校のどろどろした部分の描写がすごく上手い。
去年も「文藝」に作品を載せているようなので、また小説が出版されたら読んでみたい。
その時は誰か買って。